私の黒歴史~競馬場にて②

前回で春の夜の夢が終わったあと、波は去っていった。

相変わらず競馬場には出向いていたが、さっぱりカスリもしなくなった。

 

そういえば、競馬場に通った理由の一つに女の子の存在があった。

Yちゃんという短大の女の子が窓口販売のアルバイトをしていたのだ。

実はこの娘とは知人を介して少しだけ顔なじみだった。

当時 僕にはカノジョはいなかった。というかあまり女性の知人もいなかったのだが。

 

Yちゃんは器量の良い子で、僕がたまに馬券を買いに行くと笑顔で声をかけてくれた。

(そうそう馬券の正式名称は勝ち馬投票券って言うんだったかな、どうでもいいけど)

付き合ってる彼氏はいるようだったし、僕も特にそれ以上仲が良くなるのを望んでいた訳ではなかったが、彼女の笑顔はすさんだ僕の生活に一風のふわりとした安らぎを与えてくれていたように思う。

 

が、ある時から彼氏さんがたまに競馬場に来るようになった。

そうすると、何となく彼女には近づきがたい感じになる。

まあ、彼女の所に買いに行ったとしても別に何てことはないのだろうが、何となくね。

もしかしたら、彼氏さんも競馬場でうろつく妙な男の存在を知って彼女のことが心配になったのかもしれない。

でも、いつだったかな競馬終わりでチャリンコで引き上げていたら、彼氏のバイクのタンデムに乗った彼女が僕の名前を呼びながら走り去っていった。

この時、なぜか何となく自分が惨めに思えて、以降浮かれた気持ちでYちゃんに近づくのはやめようと思ったのだった。

 

③へ続く