スーパーにて
仕事帰りにいつものスーパーに寄った。
いつもの食料品をかごに入れていく。
いつもの酒も買い込む。
レジに行く。どこも盛況だ。
一番手前のレジが並んでるカゴの中身は少なさそうだ。
男の子が並んでいる。
7歳くらいだろうか。
菓子パンを一つ。
レジカウンターに半分身を持たせかけている。
その子の前の兄さんが清算を終えた。
店員さんが坊やに「いらっしゃい」と言う。
何かのアニメの菓子パンのようだ。
213円です、と店員さんが言っている。
坊やは小銭入れから、よくわからないカードを2枚取り出し、店員さんに渡す。
店員さんもいぶかしがるようにそのカードを見つめ背後の別の店員さんに訊いている。
その店員さんも首を振る。
店員さんは坊やに、これは使えないよ、と言った。
坊やは、じゃあいいです、とアッサリ言った。
そして、小銭入れからお金を取り出す。
100円玉が2枚と1円玉が5-6枚。
店員さんが、213円だからあと10円玉を1枚持ってない?、と尋ねる。
男の子は力なく首を横に振る。
店員さんが、どうしよう、と声に出して言った。
いいよ俺が払うよ、と気づいたら言っていた。
そして10円玉を1枚、男の子に渡した。
坊やは、小さな声でありがとうと言った。
俺も小さな声でうんと言った。
店員さんも、ありがとうございます、いいんですか、と言った。
俺は、えぇと答えた。
ともかく良かったと思った。