GW キャンプ

先日のゴールデンウイーク、帰郷しました。
私は単身赴任中なので、故郷の家族にはたまにしか会えないのです。
子供たちもそれぞれ新学年が始まっているようでした。
変わって良いこと悪いことあるようですが、何でも経験値に変えて生きる強さを身に着けていってほしいと思います。
 
GWは後半ずっと雨模様だったので、前半でむりやりキャンプに行くことにしました。
車で2時間ほどの半島の方です。
ただ、みんなで出る日程調整が難しく可能性がある日で強硬策に出ました。 
少しその時の模様をリポートします。
 
出発の日、長女は部活の特訓があった為 5時間遅れで、一人で電車で来ることにしました。
しかし、みんなの出発時間がズルズルと遅れ(いつものこと)、長女も早めに終わったため、結局一緒に出発したのですが。
それでようやく、半島のキャンプ場に着いたものの、ホームページの案内と違っており未だオープン前ということで受け入れられないとなってしまいました。
日没2時間前で、次女と長女のギャルズは もう気分じゃなくなった 帰りたい などと言い出しました。
 
しかし、このまま帰るのもはなはだ残念ですし、もー何やってんの父ちゃんのせいだからね などとその後ブーブー責められるのは目に見えてましたので、急いで付近のキャンプ場をスマホで調べました。テクノロジーって便利ですね。
 
すると、その先5Kmほど行ったところに海辺の無料キャンプ場があったので、姉妹をなだめてそちらに移動しました。
海に面している浜辺のキャンプ場で、背後は山となかなかのロケーションです。
近くに温泉もあります。
トイレと水場もきれいで、何組かすでにテントを張ってましたので、ここに宿泊しようということにしました。
でも、次女はなかなか気分を変えられず、不安・不満をしばらく口にしていましたが。
 
嫁とギャルズが浜辺の真ん中にテントを張りました。しかし、意外と海からの風が強くファミリーテントの弱いフレームはあえなく負けてしまいました。
更にブーブー言い出すギャルズをなだめ、風よけになる建物横に移動しそこに再設置しました。
嫁は、夜になって風向きが変わるとどうだろう?と言ってましたが・・。
まあまあとりあえずやってみて、最悪クルマに避難しようということで。
 
バーベキューコンロに炭をセッティングし、ギャルズも浜辺を散策しカラスの死骸を発見したりで、気分もようやく戻ってきたようでした。
ぼうずはずっと車の中でゲームをしてはしゃいでました。
彼はキャンプは好きだけど、虫や暗闇が嫌いなので車かテントにこもるのです。
前回は車にこもってる時に、開けた窓からアブの大軍が車に飛び込み大騒ぎになりました。
今でも、 ブーンがいっぱい来たねー と懐かしんでます。
 
その後、みんなで温泉に行きました。
そして、ちょうど日没ごろ火起こしを始められました。
長女が上手ということで彼女が火を起こし、次女が助手として手伝いをしてました。
私は、ヘタクソで火を消すからという理由で、火に触らせてもらえませんでした。
 
それで結構スンナリと火がつき、ちょうど薄暗くなった頃バーベキューを始めることが出来ました
焔が赤く落ち着き、肉が焼けていきます。
薄暗い浜辺の向こうをキツネらしき動物が歩いていきます。
黒い海と夜空の境ははっきりしなくなってきました。
相変わらず、風が少し強いのが気になりますが、あたりは闇と静寂に包まれ遠くのテントから子供達の歓声が聞こえます。
 
肉は多めに買ったつもりですが、あっさりと無くなってしまいました。
ぼうずはテントにこもっているので、交代で肉を配達しました。
お腹が落ち着いたところで、子供たちが火遊びを始めます。
その後、夜の浜辺の散策に出かけ、次女はまたしてもカラスの死骸を探し回り、懐中電灯の先にそれを発見し喜んでました。
 
海に突き出た防波堤の先まで行こうと誘いましたが、ギャルズは怖くなったのか面倒くさかったのか手すりを乗り越えるのが悪いことだと判断したのか
バイバイと冷たく言い放ち引き返していきました。
 
夜中になると、嫁の予言通り風向きが変わりました。
山肌を巻いた風が建物の裏からテントに襲い掛かりました。
強烈な風がもろいファミリーテントに吹き付けます。
その度に、テントはきしみフレームが大きく曲がりました。
そういう訳で、夜中ずっと私と嫁は寝ながら手でテントの骨を支えていました。
 
睡眠を取れないことを危惧した私は、もうつぶれたらつぶれたでそのまま寝ていれば良いからもう無視して寝ようと、やぶれかぶれの提案をしました。
しかし、嫁は私のそんなタワゴトには耳を貸さず、体を起こしてフレームを支えていました。
反対側を見ると、次女までフレームを支えていました。
そんなこんなで朝になり、ぼうずとおしっこに行くと、3間隣のテントはいなくなってました。
つぶれたのか避難したのか。
 
朝になると、嘘のように風は穏やかになりました。
無料キャンプ場だからチェックアウトの時間もなくゆっくりできてここ最高だねー、と無理に大きな声で言ってみましたが誰も反応してくれませんでした。
今度は卓上コンロを出し、朝食の支度をしました。
ベーコンやウインナーを焼き、次女がホットケーキを作りました。
風がまた強まったので、車のトランクを開けて次女用に特設キッチンスタジオを作りました。
そして昼頃、長女が宿題を何もやっていないということが判明し慌てて家路についたのでした。
 
ということで、終わってみればなかなか楽しいキャンプだったと思います。
もしかして私だけ?という不安はありますが。
以上、GWのキャンプリポートでした。

期待してます・・・

昔からどうでもいい細かいことが気になる私なんですが。

 

期待してます、という言葉を聞くと胸がモヤモヤするのです。

自分に対して言われた、期待してます、然り。

インタビュアーが活躍した選手に言う、次も期待してます、然り。

 

おそらく、言った本人は悪意など微塵も無いのだろう。

むしろ、好意的に言ってるのだろう。

 

でも、モヤモヤとした違和感を感じてしまうのだ。

期待とは、何に対する期待なのか。

何をしたら期待に応えたことになるのか。

 

良いチャレンジをしていても結果がすぐに出ないことはよくある。

もしくは、すごく良い効果を生み出しているが、そのものの結果としては見えずらいことも良くある。

そうです。

期待してます、という言葉には何らかの結果コミットを求められている気がしてしまうのだ。

 

勝手に期待してますなんて言うなよ。

別にあなたの期待に応える為にやっているんじゃないよ。

 

偏屈だろうか。

でも、期待してます、と言うのは相手に妙な心理的プレッシャーを与えているように思う。

相手にプレッシャーを与えて失敗させるためにあえて言ってるのならば、逆に良く理解できるのだが。

たいていの場合、無邪気にしかも好意的に使われてる場面がよく目につく。

言葉のプロであるはずの、インタビュアーが普通に使ってるのも実によく目にする。

なぜなんだろう。

 

結果は自分ではコントロールできない、ことが多い。

自分が出来るのは、良いパフォーマンスを発揮することだけだ。

その為に、必要な準備をし、体調を整え、良い精神状態を作る努力はできる。

そして、やるべきことに集中するだけ。

結果は相手もある中で出るものだ。

だから、人事を尽くして天命を待つ、のだろう。

 

僕は相手に対して、期待してます、なんて絶対に言いたくない。

せめて、楽しみにしてます、だ。

もしくは、応援してます。

これなら、楽しんだり、応援するのは僕が勝手にやることで、

しかも結果を求めるニュアンスはだいぶ薄らぐだろう。

結果が出ようが出まいが、あなたのやることを楽しみに見たり、応援したりしたい、ということだ。

むしろ、結果が出ない方が応援のし甲斐もあり、それでまた楽しみが増えたりするわけだ。

それでも、押しつけがましいことは否めないが。

 

頑張ってください、もまあ許せる。

頑張ってる人にたいして何もやってない僕が頑張れ、というのはやや気が引けるが。

気持ちは分かってくれるだろう。

少なくとも、期待してます、という上からの言い方よりは良い。

 

言葉って難しい。

でも、人の心ってそういう微妙なニュアンスをキャッチするものだと思う。

 

僕は期待してます、とは言わないな。

あなたの好きなようにやってください。

僕はそれを楽しみに見ていたいです。

という感じかな。

 

でもまあ、そんなこと実際に行ったら相手に気持ち悪がられるだろうが。

難しい・・・。

 

 

 

スーパーにて

仕事帰りにいつものスーパーに寄った。

いつもの食料品をかごに入れていく。

いつもの酒も買い込む。

 

レジに行く。どこも盛況だ。

一番手前のレジが並んでるカゴの中身は少なさそうだ。

 

男の子が並んでいる。

7歳くらいだろうか。

菓子パンを一つ。

レジカウンターに半分身を持たせかけている。

 

その子の前の兄さんが清算を終えた。

店員さんが坊やに「いらっしゃい」と言う。

何かのアニメの菓子パンのようだ。

213円です、と店員さんが言っている。

 

坊やは小銭入れから、よくわからないカードを2枚取り出し、店員さんに渡す。

店員さんもいぶかしがるようにそのカードを見つめ背後の別の店員さんに訊いている。

その店員さんも首を振る。

店員さんは坊やに、これは使えないよ、と言った。

坊やは、じゃあいいです、とアッサリ言った。

 

そして、小銭入れからお金を取り出す。

100円玉が2枚と1円玉が5-6枚。

店員さんが、213円だからあと10円玉を1枚持ってない?、と尋ねる。

男の子は力なく首を横に振る。

店員さんが、どうしよう、と声に出して言った。

 

いいよ俺が払うよ、と気づいたら言っていた。

そして10円玉を1枚、男の子に渡した。

坊やは、小さな声でありがとうと言った。

俺も小さな声でうんと言った。

店員さんも、ありがとうございます、いいんですか、と言った。

俺は、えぇと答えた。

 

ともかく良かったと思った。

黒光りするヤツが

ここ数日、やや憂鬱な気分にさいなまされていた。

 

なぜなら、久しぶりにヤツを見かけてしまったから。

黒光りするアイツを。

 

それは先週の日曜だった。

夜 部屋で一人酒を呑んでいた。

そろそろ寝ようかと思ったその時、視界の端の足元を黒い何かが通り過ぎて行った。

 

まさかと思うまでもなく、頭はヤツだ と反応していた。

いたのか!ここにはいないと思っていたのに!!

 

ほろ酔いも吹っ飛んだ。

俺はヤツが大嫌いだ。

本箱の隅に消えた。

俺はいかにヤツであっても無駄な殺生はしないと決めている。

というか、それはそれで嫌なのだ。

 

台所に行き、捕獲用のアクリルコップを取ってくる。

ヤツが消えた辺りを窺うが、あざ笑うかのようにとっくに見事に消えていた。

 

その日は諦めて布団に入った。

しかし、妄想が止まらない。

この布団に侵入してはいないだろうか。

足元がむずかゆくなる。

ウトウトしかけては目覚め、またユルユルと眠りに落ちかけては目覚め、朝が来た。

 

帰宅しても何となく部屋を見回す。

白い壁にヤツがいないだろうか。

ヤツは気配を消していた。

自分から外に出ていくことはまず無いだろう。

どこかに潜んでいるはず。

しかし、視界には現れない。

そんな日が3日ほど続いた。

 

そして昨晩、ヤツはついに姿を現した。

また視界の端で白い壁紙を黒いヤツがサッと横ぎり姿を消した。

時計の針は深夜12時を過ぎている。

やっぱり潜んでいたのか。

体に電流が走る。

酒を呑んで寝ようとしていたところだ。

しかし、これ以上いたずらに悩める時間を引き延ばすつもりはサラサラない。

よし、勝負の時だ。今宵、シロクロをはっきりつけようじゃないか。

俺はお前を生け捕りにする。

 

俺も酒を呑みながら気配を消す。微動だにしない。

すると、白壁にやつがその姿を現した。

デカイ。辺りを窺いながら慎重にヒョッコリと顔を覗かせた。

おれもそっと捕獲用コップに手を伸ばす。

ヤツはふいに動きを止めた。何かを察したか。

次の瞬間、一気に走った。

速い!すさまじいスピードだ!

 

一気にカーテンレールの端まで走り抜けると、カーテンの陰に身を潜めた。

俺もコップを片手に間合いを詰める。

いざ、勝負の時。

お前の前髪がカーテンからはみだしているよ。

観念するんだな。

 

コップをサッと振るった。

しかしヤツの前髪と思ったのはカーテンのほつれだった。

カーテンをはらう。既にヤツは消えていた。

下の荷物を急いで取り除く。

しかし、とうの昔にヤツは姿を消していた。煙のように。

 

20分後、再びヤツは現れた。

本箱の裏手からゆっくり姿を現した。

そのまま壁を登って行く。

 

カーテンレールにスタンバイしている。

さっきとは反対側だ。

今度はヤツから一瞬たりとも目を離さない。ロックオンだ。

コップを手にヤツとの距離を縮めていく。

ヤツが不意に走り、そして隠れた。

そこをすかさずひっくり返す。

しかし、ヤツの姿は消えていた。

見事だ。感服するしかない。

 

でかくて恐ろしく早くしかも黒い。そして見事に姿を消す。

こいつは忍者かもしれない。

スーパーラットというのを聞いたことはあるが、こいつはスーパーブラックに違いない。

明日以降に勝負を引き延ばしたくはないが、こいつは簡単には決着しそうにない。

 

10分後、三度ヤツは姿を現した。

カーテンレールの淵からカーテンの裏へ。

微妙にへりを動いているのが分かる。

 

俺はおもむろに立ち上がった。

カーテンをつかむとフックを一つずつ外していった。

そしてカーテンごと、ドアの外のベランダに放り投げた。

ヤツがその中にいたのか確証はない。

必死だったのだ。

しかし、ヤツが飛び降りたのも見ていない。

頼む、これで終わりにしてくれ。

 

そこから20時間、ヤツの姿は目にしていない。

ヤツは去ったのか。

そう思うと、安堵感が広がる。

しかし、またひょっこり視界に飛び込んできそうな気もする。

戦いは終わったのだと今はそう思いたい。

 

私の歴史~卒業編⑩

夏のある暑い日、僕は家で連絡を待っていた。

ほどなく、連絡が来た。

今、最寄りの地下鉄駅についたらしい。

 

僕は迎えに行った。

駅に向かう道を歩いていくと、向こうからキャリーバッグを持った彼女が歩いてきた。

一瞬、お化粧をしてスカートをはいている女性が彼女なのか分からなかった。

 

彼女はニコッと笑うと、また素知らぬ顔に戻った。

そして、僕が何か言おうとするのを聞こえぬように歩き続け、僕が慌てて追いかけた。

 

下宿先のおばさんが怪訝そうな顔で見ているところに、適当に挨拶して部屋に上がった。

彼女が笑いながら言った。

何でもスカートをはくのは何年ぶりからしい。

白くて筋力がありそうな奇麗な足だった。

 

 

私の歴史~卒業編⑨

おそらく船の中だろう彼女にメールを送った、

この間のお礼、自分の思い。

 

彼女から返事は来なかった。

でも、それが電波が入らないせいなのか、返信するつもりがないからなのかは分からなかった。

 

翌朝起きたら、何通か返信が来ていた。

僕はまた返信を送った。

 

そして、彼女は繁忙期の仕事に戻って行った。

僕は大学を卒業するための単位取得の日常に戻った。

 

3か月後、彼女から便りが届いた。

便せんに小さな字が書き綴られていた。

GWにまたこちらに来ようと思うがどうだろうか、と書かれてあった。

僕は嬉しくなった。