私の歴史~卒業編②
彼女の正面に座ったものの、何をどう話せばよいのか戸惑ってしまった。
あのー旅行ですか?などと尋ねてみる。
彼女はバックパッカーだった。
繁忙期と閑散期がはっきりしている会社で働いており、閑散期に入った時には、自ら休みを申し出て人員削減に貢献しながら、あちこち旅をしているらしい。
今回は冬の北海道を回るということだった。
船の中で僕は連絡先を教え、是非その旅が無事に終わったら旅の様子を教えてください、とお願いした。
翌日、接岸したフェリーターミナルからメイン都市までは一緒のバスだった。
バスを降りるとき、僕は彼女の方を振り返り少し離れた席の彼女に手を上げた。
そして少しカッコをつけてひるがえるとバスから降りた。
その時以来だった彼女は、律儀にも約束を果たしてくれて3週間ぶりに手紙を送ってくれたのだった。
第3部へ続く