2018-03-31から1日間の記事一覧

私の歴史~卒業編⑤

翌朝、目が覚めると冷え切った部屋の中で彼女が隣に眠っていた。 とてつもなく寒い。 ふとんから出ることもできない。 彼女も一向に起きる気配がない。 一瞬、置き手紙をして帰ろうかと思った。 でも、それはあんまりだよな、と考え直した。 そのまま、しば…

私の歴史~卒業編④

部屋の中は冷え切っていたが、彼女がストーブをつけてくれた。 コタツになったテーブルに彼女と向かい合わせで座った。 こんな至近距離で彼女と向かい合うのはフェリー以来だ。 僕は少し緊張した。 お酒を呑みながら彼女と取り留めもない話をした。 彼女は旅…

私の歴史~卒業編③

彼女が手紙をくれたので、僕は勢いづいて彼女と会う約束をとりつけた。 その会う予定の日、僕は朝からソワソワしていた。 夕方に会う予定だが、まだだいぶ時間がある。 しかし、困ったことが一つあった。 お金が無いことだった。しかも全く。 どのくらいかと…

私の歴史~卒業編②

彼女の正面に座ったものの、何をどう話せばよいのか戸惑ってしまった。 あのー旅行ですか?などと尋ねてみる。 彼女はバックパッカーだった。 繁忙期と閑散期がはっきりしている会社で働いており、閑散期に入った時には、自ら休みを申し出て人員削減に貢献し…

私の歴史~卒業編①

その女性との出会いは船の中だった。 僕の3回目の留年、そして大学7年生が決まった時、僕は親に謝るために帰郷した。 緊張しながら船に乗り一晩経って目的地に着いた。 実家に帰りつくなり、深々と頭を下げ、今回も卒業できないことを報告した。 そして、も…

私の黒歴史~競馬場にて⑦

競馬からの引退を決意した僕は、スッパリと足を洗い競馬場に近づくことはしなくなった。 捕まるのが怖かったからだ。 借金の返済も今完済することは諦めた。 粛々と金利だけを払い続け、きちんと大学を卒業し、社会人として働き始めてから完済することに方針…