私の歴史~卒業編⑧

翌々日、帰郷する彼女を見送りに行った。

ターミナル駅でどでかいリョックを床に置いた彼女がいた。

黄色いTシャツが鮮やかだった。

 

そんなでかいリュック背負えるの?と聞いたら

背負えるよ、と言っておもむろにリョックに両肩を入れ床に座った。

そしてしばらく格闘した後、見事に立ち上がった。

たぶん座ってしまったらもう立てないだろう。

 

彼女を見送りながらバス停に行った。

バスに乗りこみ一番最後列のシートに座った彼女を見ていた。

やがて、バスは動き出し彼女が僕に手を振った。

僕も手を振りながら出てゆくバスの中の彼女を見ていた。

彼女は行ってしまった。

 

3月の雪解け間近の出来事だった。