私の歴史~卒業編⑦
次の日、僕は帰らなければいけなかった。
バイトがあったから。
そして、もう一つ気に掛かっていることも実はあった。
一応当時、僕にはお付き合いしているカノジョがいたから。
カノジョにもまた寂しさから中途半端な僕がハンパにお付き合いを申し込んだのだ。
なんてことだろう。
そのことは、一切口に出さずにいた。
外に出た時に、こそこそと公衆電話に行ってカノジョに電話した。
数日、不在だったのでやはりカノジョはひどく心配していた。
「ちょっと飲みすぎて、体調崩してて」とか分からないことを言ってお茶を濁した。
電話BOXを出ると、彼女が見ていた。
「カノジョ?」
と聞かれた。
「うん」と下を向きながら答えた。
「そっか。カノジョいたんだ。」とつぶやく声が聞こえた。
こんなことは自分の人生史上ない状況なのだが、初出現したんだな。
二人に対して何だかとても申し訳ない気がした。
そりゃそうなんだけど。
数日を一緒に過ごしたアパートを出た。
出会った彼女も明後日の船で帰ると言った。
出会った彼女とのつかの間の時間が終わりを告げた。
僕は名残惜しくも彼女に別れを告げて家に帰った。
家に着くと、カノジョが待っててくれた。
でも、僕には言わなければいけないことがあった。
カノジョに、僕みたいなヤツとつきあってくれてありがとう、ということと
もうこれ以上おつきあいすることはできない、ということを言った。
彼女は驚いてそして泣いた。
僕は心が痛んだが黙っていることしかできなかった。
彼女は帰って行った。あす僕がいないときに荷物を取りに来ると言って。
僕はバイトに行った。
心はきつかった、具合が悪いと言って淡々とこなして終わるとすぐ帰った。
部屋に帰って、ウイスキーをストレートで流し込んだ。
何杯も流し込んだ。
翌日の夕方、帰ると部屋はきれいさっぱりとなっていた。