私の歴史~卒業編⑥

その日は、また取り留めもない話を彼女と続けた。

彼女は一風変わった女性だった。旅人でありロックを愛しバイク乗りでもあった。

僕も変わり者と言われることが多かったが、僕とは真逆の変わり者だった。

 

何か食べようということになり、2人で買い出しに出た。

近所のスーパーで彼女がお弁当を買い支払いをしてくれた。

僕はお金を持っていなかったからだ。

 

彼女もあまりお金はもってないようだったので、申し訳なかった。

そろそろ、電機屋のバイト料が入るはずだったが、ATMに行ってみたら入ってなかった。

 

家に帰り一緒にお弁当を食べた。

僕は自分の弁当をあっという間に平らげた。

僕は普段人の2倍食べる。

本当は弁当を2個買いたかったのだが、金もない居候の身なので遠慮したのだ。

居候、3杯目にはそっと出し とかいう川柳があったと思うが、あれは正しい。

僕の視線が気になったのか、彼女が自分の分を少し分けてくれた。

しかし、それもあっという間に食べてしまう。

すると、彼女が 何か犬みたいだね と言って笑い、また少しわけてくれた。

 

夕方頃に、彼女は僕に尋ねてきた。

「どうする、帰る?それとも、もう少しいる?」

「もう少し一緒にいてもいい?」、と僕は答えた。

「じゃぁ、近くに銭湯があったからそこに行ってみよっか」、と彼女は言った。

 

彼女は銭湯巡りが好きなようだった。

一緒にお風呂の準備をして外出した。

近所の銭湯は小さいが清潔で気持ちの良い風呂屋だった。

 

湯から上がると、ほどなくして彼女も出てきた。

湯上りで髪の濡れた彼女は、別の魅力を放っていた。

また一緒にお酒を買い、部屋に戻った。

そして、また取り留めもない話を語り合った。

そして、一緒に眠りについた。

 

第7部へ続く